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【コラム】耐震基準と耐震等級について(後編)

【コラム】耐震基準と耐震等級について(後編)

前回の投稿で、
「品確法に基づく性能表示計算と、建築基準法に基づく許容応力度計算では、同じ耐震等級でも性能に違いが出ます。」
と触れた部分について綴りたいと思います。

簡単に言いますと、
ちゃんと許容応力度計算をして耐震等級3を獲得しないとダメ!
ということなので、ご一読いただけますと幸いです。

耐震性を計算する3種類の方法

実は、耐震性を計算する方法は3つあり、それぞれに計算方法が違います。
①建築基準法の仕様規定
②品確法における性能表示計算
③建築基準法の許容応力度計算
それぞれ詳しく説明します。

①建築基準法の仕様規定
建築基準法の仕様規定は、簡易的な計算方法です。
木造住宅の多くはこの簡易的な計算で耐震性を算出していて、建築許可の出る最低限の基準です。
最低限の基準とはいえ、新耐震基準は守られているので、地震が来たら即倒壊のようなものではありません。
耐震等級1の住宅はこの計算方法になります。
建築基準法の仕様規定では耐震等級2や3は獲得できません。

②品確法における性能表示計算
耐震等級2や3を獲得するには、性能表示計算か許容応力度計算が必要です。
性能表示計算は、住宅品質確保促進法(品確法)の規定に従って計算される方法で、
先に綴った仕様規定よりも少々複雑な計算方法です。
仕様規定の項目に加え、床、屋根、横架材接合部をチェックします。
性能表示計算によって建てられた場合は、耐震等級2以上になり、長期優良住宅の基準をクリアできます。
よく見かける「耐震等級2以上」というのは、ほとんどが性能表示計算によるものです。
性能表示計算でも耐震等級2、耐震等級3を獲得することができますが、下記に綴る許容応力度計算よりもチェック項目が少ないという部分は懸念材料です。

③建築基準法の許容応力度計算
許容応力度計算は性能表示計算よりもさらに詳細な計算方法です。
柱や梁など全ての部材一つひとつの応力を計算して、耐震性能を算出します。
性能表示計算ではチェックされない基礎や横架材なども計算対象ですので、大変手間の掛かる方法ですが、この許容応力度計算をすることで、はじめて耐震性能を「最高レベル」にすることができます。
許容応力度計算では耐震等級2か3を獲得することができます。
一般的に、許容応力度計算の耐震等級2は、性能表示計算の耐震等級3と同等と言われていますので、性能表示計算の1ランク上が許容応力度計算というイメージで良いかと思います。

まとめ

一口に耐震等級と言っても、内容は複雑で計算方法も多岐に渡ることがご理解いただけたかと思います。
正直なところ、性能表示計算で耐震等級2を獲得してしまえば、長期優良住宅などの住宅認定制度に対応できるので、許容応力度計算までしなくても問題ないと考えている住宅会社も少なくありません。
大手のハウスメーカーが謳う耐震等級は、ほとんどが性能表示計算によるものです。
しかも現行の法令には、4号特例という建築確認の審査を省略できる規程があり、一般的な木造住宅は、最低限の耐震性を保証すれば建築すること自体はできてしまうという背景もあります。
住宅会社それぞれに耐震等級の計算方法が異なりますので、同じ耐震等級だからと言ってその数字だけを鵜吞みにせず、どんな計算方法で算出されたものなのかをちゃんとチェックしていただく必要があります。

さいごに

本間材木店では、木でつくる耐震等級3の住まいにこだわっています。
もちろん計算方法は「許容応力度計算」です。
見附市近郊は雪深い地域でもありますので、地域特性や利便性も考慮して、
積雪荷重を考慮した許容応力度計算を行い、雪下ろしの心配がないように設計しています。

いつも口酸っぱく言っておりますが、
住まいは、当たり前の日常を快適に過ごせる場所であると同時に、未曽有の災害の際は、家族の命を守ってくれるシェルターであるべきだと考えています。

住宅性能について詳しく聞きたいという方は、是非本間材木店にご相談ください。
お問い合わせはこちらからどうぞ。